生成AIで会社ブログを書くなら―下書きから公開後までの編集フロー
会社ブログを更新したいが、担当者は本業と兼務で、ゼロから文章を考える時間がない。生成AIを使い始めても、「誤りが混ざらないか」「他社の記事に似ていないか」「顧客情報を入力してよいのか」が気になり、公開できない——。こうした状況は珍しくありません。
生成AIは、構成案や下書きを作る速度を上げる道具として役立ちます。一方、取材相手の意図を理解し、制度の最新情報を確認し、会社として公開してよい内容かを判断する編集者ではありません。生成された文章をそのままWordPressへ貼り付けるのではなく、人が確認して公開責任を持つ流れが必要です。
この記事では、会社ブログを作る実際の順番に沿って、生成AIをどこで使い、どこから人が判断するのかを整理します。
AIを開く前に、記事の役割を一文で決める
最初に決めるのはプロンプトではなく、記事の役割です。「SEO記事を作る」だけでは範囲が広すぎます。誰が、どのような場面で読み、読み終えた後に何を判断できるようにするのかを一文にします。
たとえば、次のように具体化します。
記事の役割の例
「地域の小売店を経営する人が、Google口コミをお願いするときの禁止事項を理解し、自社の依頼文を見直せるようにする」
ここまで決めると、必要な資料と不要な話題を分けやすくなります。あわせて、問い合わせ、資料請求、関連サービスの確認など、記事の次に案内する行動も一つ選びます。最初から商品紹介へ誘導するのではなく、記事の内容と自然につながる行動にします。
仮タイトル、想定読者、記事の目的、読後の行動は編集メモへ残します。
下書きの前に、入力してよい資料だけをそろえる
次に、AIへ渡す材料を用意します。生成AIに「詳しく書いて」と頼むだけでは、一般論が増え、自社の記事としての価値が薄くなります。先に、自社のサービス資料、担当者へのヒアリングメモ、よくある質問、一次情報のURLなどを集めます。
ただし、資料があるからといって、そのまま外部の生成AIサービスへ入力してよいとは限りません。個人情報保護委員会は、生成AIサービスの利用時にも個人情報保護法の規律に従って適正に取り扱うよう注意喚起しています。利用するサービスの規約、入力データの保存や学習への利用、契約プラン、社内ルールを確認します。
顧客名、問い合わせ内容、未公開の人事情報、契約内容、社外秘の数値などは、判断できないまま入力しません。顧客事例を使うなら必要な許可を取り、目的に不要な識別情報を削ります。
AIへ渡す資料の準備メモ
- 公開済みの自社情報か、社内限定情報か
- 個人や取引先を特定できる情報が含まれていないか
- 制度、統計、製品仕様は一次情報で確認できるか
- 引用する文章・画像の出典と利用条件を確認したか
- 利用するAIサービスのデータ取扱いを確認したか
下書きは、完成原稿ではなく「検討材料」として作る
資料がそろったら、生成AIに構成案を作らせます。いきなり三千字の記事を一括で出力させるより、論点の抜けや重複を確認してから本文へ進むほうが修正しやすくなります。
プロンプトには、想定読者、目的、使ってよい資料、避ける表現、必要な実用要素を伝えます。また、「資料にない数値を作らない」「分からない点は断定しない」「参照が必要な主張を区別する」といった条件も加えます。
この時点では、文章表現より次の点を見ます。
- 読者の疑問に順番どおり答えているか
- 自社が実際に説明できる内容か
- 根拠が必要な主張を特定できるか
- 同じ説明が複数の見出しに重複していないか
- 読後の行動が記事内容とつながっているか
生成AIが示した事例や数値は、実在するものとして扱いません。架空の例を使うなら「例」と明記し、実績のように見せないことが大切です。

事実確認では、文章ではなく主張を一つずつ見る
下書きが読みやすくても、事実が正しいとは限りません。確認作業では、文章全体を眺めるのではなく、検証できる主張を一つずつ拾います。
特に確認したいのは、制度名、法律・ガイドライン、日付、金額、割合、申請条件、製品機能、組織名、人名、URLです。制度や製品仕様のように変わり得る情報は、官公庁や提供事業者の公式ページなど、できるだけ一次情報で確認します。
検索結果の要約文や別の記事だけで確定せず、一次情報にない解釈は事実と自社の見解を分けます。誤りの影響が大きい分野は、必要に応じて専門家の確認を受けます。
確認したページのURL、確認日、使用箇所を編集メモへ残すと、制度改定時に影響する文章を探しやすくなります。
権利と類似性は、公開前に人が目と手で確認する
AIが生成した文章や画像だから自由に使える、とは限りません。文化庁は、生成AIと著作権について、判例・裁判例の蓄積がない現状も踏まえた考え方や、リスクを低減するためのチェックリストを公開しています。個別の利用が問題になるかは、生成・利用の状況によって判断が変わります。
会社ブログでは、少なくとも次を確認します。
- 特定の記事や書籍の表現と、不自然に似ていないか
- 有名なコピー、キャラクター、ロゴを再現していないか
- 外部の写真や図表を、許可や利用条件の確認なく使っていないか
- 引用部分と自社の文章が明確に区別され、出典が示されているか
- 取材相手や顧客の発言・事例を公開する許可があるか
「この作家の文体で」「この会社の記事を言い換えて」といった依頼は避けます。参考資料は事実確認に使い、表現と構成は自社の読者に合わせて作り直します。類似が疑われる場合は、公開を急がず、元資料との関係を確認してください。
人の編集で、自社にしか書けない内容へ戻す
事実と権利の確認が終わったら、文章を自社の言葉へ直します。AIの下書きは整っていても、「重要です」「効果的です」といった一般論が続きやすく、誰が書いても同じ記事になりがちです。
ここで加えたいのは、架空の成功談ではなく、実際の業務から説明できる判断材料です。相談時によく聞かれる質問、現場で迷いやすい点、自社が依頼を受ける条件、対応できない範囲などを具体的にします。社内用語は読者の言葉へ置き換え、専門用語には短い説明を添えます。
編集担当者は、次の問いで読み直します。
「この記事の主張を、会社として問い合わせ時にも説明できるか」
説明できない断定や、裏付けのない優位性は削ります。生成AIを使ったかどうかにかかわらず、公開する文章の責任は会社側にあります。総務省・経済産業省のAI事業者ガイドライン第1.2版も、AIの利用者を含む各主体に、人間中心、安全性、プライバシー保護、セキュリティ確保、透明性などを踏まえた取組を求めています。

WordPress入稿では、本文以外を最後まで整える
原稿が完成したら、WordPressの通常の編集画面で、見出し階層、段落、箇条書き、リンクを確認します。タイトル欄と本文先頭に同じタイトルを重ねないようにします。
アイキャッチと本文画像には、画像が見えない場合に伝えるべき内容を代替テキストとして設定します。
公開前プレビューでは、パソコンだけでなくスマートフォンも確認します。長いタイトルが途中で切れないか、画像内の文字が読めるか、リンクが押しやすいか、問い合わせ先まで迷わず進めるかを見ます。参考情報のリンクも実際に開きます。
可能なら執筆者とは別の人が読みます。難しい場合は時間を置き、「事実」「権利・個人情報」「読みやすさ」を分けて見直します。
公開後は、参照元と更新日を手がかりに見直す
記事は公開したら終わりではありません。制度、料金、製品機能、申請期限を含む記事は、更新時期を決めます。参照元の改定を確認し、古くなった箇所を直したら、記事内の更新日や編集記録も更新します。
アクセス数だけでなく、検索語、関連ページや問い合わせへの遷移、読者から増えた質問を見ます。想定と違う場合は、記事の役割を見直します。
担当者が交代しても続けられるよう、次の情報を記事ごとに残します。
- 記事の目的と想定読者
- 使用した一次情報と確認日
- AIへ渡した資料の種類と、入力を避けた情報
- 事実・権利・個人情報を確認した担当者
- 公開日、更新日、次回確認予定
- 修正した内容と理由
これは大がかりな管理表である必要はありません。WordPressの下書きメモや共有シートで、後から判断の経緯を追える状態にすることが大切です。
まとめ:AIに任せる作業と、人が引き受ける責任を分ける
生成AIで会社ブログを作るときは、構成案や下書きの作成を効率化しつつ、目的の決定、入力情報の選別、事実確認、権利・個人情報の判断、最終編集、公開責任を人が担います。
まずは次の記事から、AIを使う前に「記事の役割」「入力してよい資料」「確認が必要な主張」を一枚のメモにまとめてみてください。作業が速くなるだけでなく、誰が確認すべきかも明確になります。
社内の生成AI利用ルールやブログ編集フローが決まっていない場合は、実際の業務と使用ツールを確認し、無理なく続けられる運用へ整理するところから始めましょう。コンテンツ制作と生成AI活用の設計について、お困りのことがあればお気軽にご相談ください。

- 中小企業診断士 / Webマーケティング支援
- 中小企業診断士として、中小企業のWeb集客・マーケティング支援に携わっています。SEO・MEO、SNS、Webサイト改善、アクセス解析などを中心に支援。SAGU BLOGでは、中小企業のWebマーケティングを「実務で使える形」に落とし込んで発信しています。

